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輝き続けるアート界の“星” フランク・ステラの軌跡
The New York Times Style Magazine:Japan 2020/07/15フランク・ステラのミニマリズム抽象芸術作品は、彼がまだ駆け出しだった頃、目指すべき絵画の方向性を見直す指標となった。今、キャリアの終盤にあたり、83歳のアーティストが自身の若かりし頃を振り返る
宇宙で煌(きら)めく星々には、住所というものはない。そのかわりに座標軸がある。地球上で、星のように周囲を照らす、影響力の大きな人物にも同じことが言える。11月のあるどんよりとした朝、私はGPSを頼りに、ハドソンバレー地区の何の変哲もないビル群に向かっていた。土砂降りの雨の中、なんだか不吉な予感がしたが、道端に鋳造アルミニウムとステンレス・スチールでできた巨大な彫刻の数々を見つけたとき、きっとここに違いないと思った。作品のいくつかが、はっとするほど際立った形をしていたからだ。そして、ちょうどいい目印として、入り口を示す板に「ステラ」という名前がスプレーでペイントされていた。
アーティストは常に進化を続けるので、高齢になっても若々しいというより人間的なチャーミングな魅力を持ち続ける人が多い。