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心理的ストレスで腸内細菌が破綻する仕組み、北海道大学が解明
大学ジャーナル 2021/05/22北海道大学大学院の中村公則准教授らの研究グループは、うつ状態を起こすようなストレス下では、小腸から分泌される「αディフェンシン」が減少し、それによって腸内細菌叢と腸内代謝物が異常となり、腸内環境の恒常性が破綻することを、世界で初めて明らかにした。
うつ病は心とからだの症状を伴う疾患で、心理的ストレスが強く関与して脳のはたらきのバランスが崩れ、抑うつ気分や睡眠障害などが生じる。このような心理的ストレスは腸内細菌叢の異常に関与することが知られているが、そのメカニズムは不明だった。
一方、研究グループは、小腸のパネト細胞が分泌するαディフェンシンという抗菌ペプチド※が、腸内に常在している共生菌を殺さない選択的な殺菌活性によって、腸内細菌叢の組成を適切に制御していることを明らかにしていた。そこで、αディフェンシン分泌量が減少すると、腸内細菌叢とその代謝物の恒常性が破綻するという仮説を立てた。