- Roundup
PERMA (un) FASHION ── ファッションではない永続可能な装いのメソッド:METHOD #22
2021/05/28パーマネント(恒久的)なアンファッション(他者や流行におもねらない装い) ── それは人と自然がともに豊かになれる、永続可能な暮らしを送るためのイノヴェイティヴな装い術。何を着たいかではなく、何を着るべきか、が問われる時代がやってくる。
意識の革新で手に入れる
持続可能な暮らしと装い
ファストファッションの台頭でピークを迎えたファッション産業は、人類が排出する全二酸化炭素量の約10%を排出し、人々の飲み水を奪い、それでいて製品全体の8割以上がゴミとなる“怪物”となった。しかしその後は一転、少女による「怒りのスピーチ」のインパクトなどもあり、トレンドは「持続可能性」へと大きく逆振れし、いまに至る。
表層的かつエステティックなファッショントレンドとは異なる、この本質的でエコロジカルなトレンドを永続的なものとするために、われわれは衣服へのアプローチを改めなければならない。すなわち、自分は自分であり、手にしているものの価値を正しく評価すること。本当に必要なものだけを購入し、ゴミを増やさないこと。そして、可能な限り環境負荷の少ないメソッド(製品やサーヴィス)を選ぶことだ。
地球規模のパンデミックを経験し、人口爆発による環境破壊、食糧難が目前に迫っているいまこそ、決して優しいばかりではない自然と共生し、健やかに、幸せに暮らしていくメソッドが必要だ。
そのひとつが、リサイクルやアップサイクル。これまでゴミとして扱われていた不用品、製造工程で発生する端材や糸くずは、再製品化など有効活用できる。またオーガニックな原料や生産方法を徹底すれば、環境負荷が大きいとされるコットンですらサステイナブルになる。
そして天然素材と合成素材、それぞれのメリットとデメリットを正しく理解し、使い分ける知恵。メリノウールは化繊も顔負けの高機能を備えているし、生分解性やリサイクル可能性が担保されていれば、石油由来の製品だって悪ではない。
UNFASHIONとは、もはや「流行ではない=ダサい」という意味ではない。「一過性のトレンドに則っていない」、本質的かつパーマネント(恒久的)であることを意味する。PERMA (un)FASHIONとは、ファッション(衣服)にしてファッション(流行)にあらず。誰も不幸にすることなく、本当に必要とするものだけ手に入れる──そんな恒久的に持続可能な装いのメソッドだ。