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誰もが孤独を感じる今の時代に 勇気と救いの光をもたらす 芸術家たちの友情ストーリー

T JAPAN 2021/06/15

印象派の時代から1920年代のハーレム・ルネサンス時代、さらにエイズ撲滅をめざす「Act Up」運動の時代など、どんな時代も、芸術家同士の友情が素晴らしい作品を生み出してきた。それだけでなく、友情は愛情の特殊な形としても存在してきた。この1年間、誰もが自宅待機生活で孤独を強いられる中、クリエイティブな者同士の絆は、親密さだけでなく、よりパワフルなものをもたらしてきた。それは「救い」だ。

芸術家同士の友情の逸話は、しばしばラブストーリーとして語られることが多い。偶然の出会いや、お互いに電流が流れるような初対面、そしてすべてを変えてしまうような、神秘的な共通認識などがそうだ。

1967年の夏の日、ニューヨークの書店で、ロバート・メイプルソープとパティ・スミスは偶然に出会った。ともに20歳のふたりは、美と永遠の生命に飢えていた。「彼の内なる宇宙を丸ごと知らなくては、という気持ちにさせられた」。スミスは2010年に出版された『ジャスト・キッズ』の中でそう書いている。1940年のある午後、当時まだ10代だった作家のジェイムズ・ボールドウィンは、グリニッチビレッジにある画家のビューフォード・ディレイニーのスタジオの扉を叩いた。ボールドウィンは1985年出版のエッセイ集『The Price of the Ticket(チケットの値段)』の中で、ディレイニーとの出会いをこう語っている。「私の人生で生まれて初めて見た、黒人男性でもアーティストになれるという、生きて歩いている証拠が彼だった」。

だが、必ずしもいつも雷に打たれるような邂逅ばかりではない。1917年に記された日記の中で、当時35歳だった作家のヴァージニア・ウルフは、夕食会で会ったニュージーランド生まれのモダニスト作家キャサリン・マンスフィールドについての印象を歯に衣着せずにこう書いている。「彼女はまるで、散歩に連れ出されたジャコウネコみたいな臭いがした」。ウルフは、マンスフィールドが驚くほど「凡庸」だったと記したうえで、こう書き残している。「そんな初対面の印象が消えると、彼女は実際、非常に知的で、得体の知れない魅力があり、それだけで十分友情に価した」。

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