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美術館の未来を担う 女性たち
The New York Times Style Magazine:JAPAN 2020/07/08存在感を増す美術業界の女性たち
―― 皆さんは以前に職場が一緒であったり、引き継いだりという関係性ですよね?
片岡真実(以下:片岡) 私と逢坂さんが出会ったのは1990年代半ばです。当時、逢坂さんは水戸芸術館、私はニッセイ基礎研究所でした。その後、逢坂さんが森美術館のアーティスティック・ディレクターに就任されたときには、私も森美術館に在籍していて重なっていますが、(ロンドンの)ヘイワード・ギャラリーとの兼務だったのであまりお会いしなかったですね。
逢坂恵理子(以下:逢坂) 片岡さんが東京オペラシティ(アートギャラリー)にいたとき、それまでにない企画をいろいろ打ち出しているなと、展覧会をよく観に行っていましたよ。
―― 蔵屋さんは、逢坂さんから横浜美術館の館長をバトンタッチされました。
蔵屋美香(以下:蔵屋) 前職の東京国立近代美術館には26年間在籍しました。そこから他の美術館に移るのは初めてですが、美術館勤務以前はパッケージ・デザイナーの時代もありました。
「世界の構造を『科目』に分類して学ぶのではなく、現代美術はあらゆる教科が総合的につながっている場所であり、それを実感できる美術館に今後もしてゆきたい。」(片岡)「日本では、美術館運営や館長職は軽く考えられている節があります。本来、美術は、社会や世界の状況、人間についていろいろな示唆を与えるものであり、それに関わる仕事は、考える機会を与える豊かなものだと思っています。」(逢坂)「美術に対する敬意と知識、経営的視点、労働環境整備の意識の3つが揃わないとトップは務まらないと思います。今はそのどれか一つだけという人も多いので、自分たちはその3つを見てゆける人間になるべき。」(蔵谷)それぞれの言葉にあるように、「男性」「女性」という視点ではなく、TOPがどういうビジョンを描けているかが大切です。