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アナスイ、フィリップ・リムーー アジア系デザイナーたちの台頭の軌跡と背景
The New York Times Style Magazine:Japan 2020/07/13東アジア、アジア太平洋地域、南アジアに祖先をもつあらゆるアメリカ人は、ひとまとめに〈アジア系アメリカ人〉と呼ばれてきた。だが80年代初期、NYモード界に十数名のアジア系デザイナーが出現して新風を吹き込み、このステレオタイプの枠組みを打ち壊した。彼らの台頭によって、モード界の名ばかりの“平等主義”、つまり表層的なジェスチャーでしかなかった“ダイバーシティ”は、一歩実現に近づいた。
その最初のステップを踏み出したのは、アナ・スイ、ヴィヴィアン・タム、ヴェラ・ウォン、キモラ・リー・シモンズといった、アジア系アメリカ人デザイナーたちだ。彼女たちは、カルバン・クライン、ビル・ブラス、ラルフ・ローレン、マイケル・コース、ダナ・キャラン、マーク・ジェイコブスたちが君臨していた当時のNYモード界に、彗星のごとく現れ、それぞれが独自の美学を謳った。アナ・スイはペザントブラウスやフラウンシースカート(ひだ飾りのスカート)を提案し、ヴィヴィアン・タムは伝統的なチャイナドレスを現代ふうにアレンジ。キモラ・リー・シモンズは、ボディコンシャスなベロアのトラックスーツをデザインし、ヴェラ・ウォンは従来のウェディングドレスをクリーンでミニマルなスタイルに変えた。
本当の意味での「多様性ーダイバーシティ」が、今後の世界でどのように広がっていくのかを注視していくことがあらゆる分野においての転換点を掴むポイントになります。